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2007/02/01 (Thu) 題詠05のうた(001~100)


五十嵐さん、西宮の勝手を許してくださってありがとうございます。
2005年のお題100首のまとめです。

     *   *   *

001:声
再放送だらけの時間くつしたをぬいだ ねこじゃらしの声がする
002:色
色色を集め切り絵のあざやかな闇は流れるきょういくテレビ
003:つぼみ
湯気のたつつぼみを口にはこびつつ見ているルーブ・ゴールドバーグ
004:淡
ゆうやけが淡く重なるこの道で手をつないでもいい 歩き出す
005:サラダ
真夜中に雨 「サラダ」ってつぶやかれ洗った指でちぎってあげた
006:時
炭酸の泡が呼びあう24時の先 土星の環がよく見える
007:発見
玄関についてきた月 少年が発見した公式と同じだ
008:鞄
鞄には咲くための種入れてある 後部座席で寝ててもいいよ
009:眠
眠れないのなら暗闇ちょんぎってジュディオングみたいにしたげる
010:線路
靴底の底なめらかに這う線路消失点にあおいゆきふる
011:都
梨の字を名に持つ人のあけすけの梨の実狩りに梨の都へ
012:メガホン
メガホンの壁は波間と地続きに立つ そうやってよい波を待つ
013:焦
焦がしバターのにおいが断然残る中あなたはやさしきひとだったのね
014:主義
しゃぼんだまゆびさし確認する主義だ ひざから生まれて消える 寝覚めも
015:友
親友という人が来たので何か話した 覚めたら夕立だった
016:たそがれ
パノラマのすみずみにまでセロファンが降る たそがれの花は某色
017:陸
ねころんでいるだけ せめて 抱ききれない陸でわたしは雨を忘れる
018:教室
前髪をつくる 初めて教室に入るきもちで完結させる
019:アラビア
結果では前世は姫でアラビアの蛇が鼓膜をふるわせていた
020:楽
窓を開けたことはないはず でも羽根が床に落ちてる 楽園だから
021:うたた寝
無防備にうたた寝を始めたばかりのチーズをスマイル込みでください 
022:弓
まねをしているうちきみが光りだし困った弓ヶ浜のはじっこ
023:うさぎ
天井にはりついたまましぼんでくうさぎをあおむけになって見てる
024:チョコレート
七夕の逢瀬の間にもチョコレート爆発は起き地軸がずれる
025:泳
賞と名のつくものほしい 竹やぶを泳ぐみたいな宴会だった
026:蜘蛛
放られた星座盤の次元を蜘蛛の足がきらきら回し始める
027:液体
コンタクトレンズを洗った液体がちょうど今花火にとけている
028:母
七歳の私にさしだされた母のふくらみはあまくて肌だった
029:ならずもの
ジュエルリングチュッパチャップス悉く噛み砕くならずものとあくしゅ
030:橋
あの雲は飛んでいる人たちの影 もうすぐ空の橋は消えゆく
031:盗
すきとおるみつばち 盗んだものすべて並べておどって夢をみたあと
032:乾電池
乾電池の凸のところがすりへってきたのでからだとおふろを洗う
033:魚
へんなうたつくったきいてって魚群探知機にかかるようにうたう
034:背中
波の音してる 背中のファスナーのとこからわたしを中に入れてよ
035:禁
単純に出会えるように頭上には遊泳禁止領域の青
036:探偵
探偵がすむまちにすむ野良猫はみんな首輪をつけられている
037:汗
ありえないことばをそそいでくれたこと 流された汗までありがとう
038:横浜
東京を発って干し梅つまんだりしてたら流れてった横浜
039:紫
紫陽花はしずくで咲いて花びらの数だけわたしをこわしていった
040:おとうと
惑星の逆行を説くおとうとをよくわからないまんま抱きたい
041:迷
二次元の迷路をなぞる鉛筆と一緒にまっしろい部屋で寝る
042:官僚
官僚の車に雪をぶつけます 雪玉にするまでもないです
043:馬
隕石が降ってくるのを待ちながら桂馬の位置でほほえむばかり
044:香
ぱちぱちと夜空に星がゆれるたび街は真水の香りをはなつ
045:パズル
ねえあたしいつからあなたにあいたくてパズルをときつづけてるんだろう
046:泥
たまごわるときの強さをおやゆびにこめてロックをはずす泥棒
047:大和
中指で容器の底にふるへつつなほ在る大和糊を掬ひぬ
048:袖
袖のない格好でいる合コンの席のすみっこ カレー食べたい
049:ワイン
ワインセラーをくぐりぬければ三月の夜へと沈みゆく足の裏
050:変
いまはもうおもいだせない変な顔してくれたきみの顔の変さを
051:泣きぼくろ
泣きぼくろはがすみたいに授業中まっかなペンで「あはれ」って書いた
052:螺旋
誰もいない水辺で しね と言う日々を螺旋のほつれがからめとるだろう
053:髪
風水で桃色にした浴室に落ちて流れて吸い込まれる髪
054:靴下
鳥をみな逃がした後は靴下のつまさきばきを試したりした
055:ラーメン
あなたにはチェルシーじゃなくラーメンになれないベビースターあげたい
056:松
貝の身を選る箸先を見つめつつ裂かれるだけの松葉を思う
057:制服
いままでに着た制服を燃やしきるいま捨てられた吸殻の火で
058:剣
手に取った剣の長さは臆病の度合いと同じだからこそ勇者
059:十字
街中がみんなあなたの歌声で十字路にたたずんで見ていた
060:影
きみのことあんまりすきじゃありません 影ごと重なったからわかった
061:じゃがいも
鏡面に指紋を残し刻まれてゆくじゃがいもの胎児のかたち
歌姫の台所では何ひとつ変わることなくじゃがいもが咲く
062:風邪
草の葉の匂ひを放ち夏風邪の額はみぞれに抱かれてをり
063:鬼
ローソンのミルクのごとく血を湧かせネットで愛しあうな鬼ども
064:科学
空色の薔薇をつばさに科学者は眠れぬ時を眠れぬままに
065:城
さみどりの間の城はつぎはぎに 失恋をしたことがなかった
066:消
未来ばかり見つめることはない蜘蛛の巣と抱きあって眠る消火器
067:スーツ
早秋のスーツすずしく胸・腕の色のちがいをくるんで歩む
068:四
うたた寝ののちに見あげる炭酸の泡飲むなかれ第四惑星
069:花束
原型をとどめたセピアの花束が幾重にも幾重にも謝る
070:曲
背の曲がるからだを愛す コンベアがつくってくれたおにぎり食べて
071:次元
四次元を繰る処女宮のドラちゃんの腹のまるみにほのかにふれる
072:インク
長すぎる睫毛をインクにひたしては I love you を書きとめていた
073:額
タクシーは去ってしまったさらってという名の額をさらしていたのに
074:麻酔
五月雨の麻酔で膨れあがる身体このままさようならなんていや
075:続
満ちてゆく真水の中で両腕がハノンの粒を叩き続ける
076:リズム
許しあう日を(幻を)見せつけてそろそろ土へ返るプリズム
077:櫛
水底のあぶくまみれの背をきみが手櫛で梳いたようにまた虹
078:携帯
不可避なる邂逅なれど携帯のふるえの濃さに馴染んでしまう
079:ぬいぐるみ
めをあけたままめかくしをされているぬいぐるみほどすべてがみたい
080:書
キャンディーの色も淡まる時代だしともかく手紙を書きちらします
081:洗濯
洗濯機の下から水がざぶざぶとあふれて清い一日であれ
082:罠
きみはよく笑ったように泣くことで罠をいくつか掻い潜っていた
083:キャベツ
フラクタルはがして終着点を見るたかだかロールキャベツのために
084:林
よかったです生まれ変わってどんぐりのかたちで雨の林にいられて
085:胸騒ぎ
千の島というドレッシングをふりかけて胸騒ぎから遠く離れる
086:占
裏庭に生るひまわりをみしみしとちぎるやっぱり占いが好き
087:計画
計画に加えておいて<ビートルを降りたらすぐに藍染めになる>
088:食
朝昼晩千枚漬を食ふ人の6つのピアスホールは硬し
089:巻
巻き髪の螺旋をすべりゆくほどの軽さが私の涙にもある
090:薔薇
たくましくなりたくないと言う限り薔薇は居ても立ってもさみしい
091:暖
パイロットランプを風に包ませてきれいです暖かい大地は
092:届
届かない手紙があなたと返すべきではない手紙とを抱くだろう
093:ナイフ
ひざ裏をペーパーナイフでみぎひだりする感覚ですきときらいが
094:進
進まない黄色電車の五両目でくちづけをしながら待っていた
095:翼
ああひどい青だ 翼になるはずであった骨までぐいと広げる
096:留守
あおむけばかがやく万華鏡になるからかみさまが留守でも平気
097:静
はなびらが散ってから地にふれるまでまぶたの裏の静脈をなぞる
098:未来
流星のひかりのままに冷蔵庫でいっしょに桃をひやす未来へ
099:動
異なった肢体をあまく動かせば覚悟覚悟がエピタフに散る
100:マラソン
つながっていく 靴紐を結ぶなり見えなくなったマラソン走者

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花火について
花火花火(はなび)は、火薬と金属の粉末を混ぜたものに火を付け、燃焼時の火花を楽しむためのもの。火花に色をつけるために金属の炎色反応を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によってさまざまな色合いの火花を出すことができる。多くの場合は火薬が爆発・燃焼した時に //光・光学・光学機器ETC 2007/03/30 23:41

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